『電通 洗脳広告代理店』苫米地英人 著【書評・要約】

(画像:Allen.G /Shutterstock)

海外のテレビCMの代理店は、「一代理店一業界」かつ「一業種一社」が普通であるのに対し、日本は多くの業界に跨って、たった数社がそのシェアを奪い合っていることが、問題になっていますが、数社といっても実質は一社が圧倒的なシェアを持って、業界を牛耳っていると言われます。

広告業界を牛耳れるということは、日本に溢れている様々な広告を実質的に支配して、国民の思想をも動かすことが出来る可能性までも、秘めているということです。

その真偽のほどが正しいかは定かではありませんが、広告業界の深層に迫った本をご紹介します。

自分は「広告はほとんど見ていない」、もしくは、「広告に左右されたりはしていない」と思う方もいるかも知れませんが、2011年3月11日の東日本大震災発生後のテレビCMで連日『AC (ACジャパン、旧公共広告機構)』を見続けたことを思い出してみてください。『AC』のCMが流れていた時間は、震災がなければ全て一般企業の広告が延々流れ続けている時間なのです。

いかに様々なCMを見せられていたかに気づくのではないでしょうか。普段は意識していないCMも、なくなってみると不思議な違和感を覚えますし、これほどまでに広告の中に囲まれているということに気づくのではないでしょうか。

洗脳広告代理店 電通

今回紹介する本は、広告代理店業界で圧倒的なシェアを持つ、電通の深層に迫ったビジネス書。著者は、脳機能学者・計算言語学者・分析哲学者・認知心理学者であり、脱洗脳のスペシャリストでもある苫米地英人さんです。

電通批判はメディアのタブーだ。ただ、私はリスク承知で、この会社の闇を本書でいけるところまで掘り下げてみようと思う。

苫米地英人

電通を批判することは、メディアから消されることを意味すると言っても過言ではないという噂は多くの人が聞いたことがあると思いますが、著者の苫米地英人さんもそれを覚悟で執筆した本です。

良いニュースでも悪いニュースでも度々名前があがる電通について、過去の様々な事件や電通の歴史、そしてそもそも洗脳とはなんであるのか、電通の行為は洗脳であるのかといったところまで踏み込んだ内容になっています。

広告業界に興味がある方もない方も、私たちの身の回りは広告で溢れていることを認識するために非常に良い一冊であり、広告に振り回されないためにもIQをあげていためにとても参考になる本です。

メディアは中立ではないということ

東日本大震災のことを振り返ると、震災直後に会見を開いていたのは、枝野幸男官房長官や原子力安全・保安院、気象庁ばかりであり、福島第一原子力発電所を運営している張本人である東京電力の社員が誰一人出てこないことに疑問を持った人も多いのではないでしょうか。

ようやく公の場に東京電力の社員が姿を現すと、今まで枝野幸男官房長官や原子力安全・保安院の人たちには、罵声を浴びせていた記者たちが、静かに東京電力の社員に質問をするといった風景が見られたという事実に気が付いた人はいるでしょうか。

その後、当時の社長が体調不良で入院し、再び公の場に姿を現した際には、罵声が飛ばされたものの、実は罵声を飛ばしていたのは、フリーの記者やライターたちで、テレビ局や新聞社の記者たちは静かに順番に質問をしたとのことです。テレビ局や新聞社の記者たちも、枝野幸男官房長官や原子力安全・保安院、気象庁には、ひどい罵声を浴びせていたにも関わらず。

こうした記者たちの不可解な行動の結論として、筆者の苫米地英人さんが辿りついた結論は、

東京電力はさまざまなメディアの大スポンサーだから

ということです。

会社に莫大な利益をもたらしている、大スポンサーの東京電力を一サラリーマンであるテレビ局や新聞記者の社員が叩けるわけがないのです。

メディア、特にCMなどの広告費が主な収入源となっている商業メディアが最も重視することとは何かということだ。もちろん、それは「広告主から今後も安定的に広告費をもらうこと」である。

ところが多くの人は「メディアは中立である」と思い込んでいる。テレビもラジオも新聞も、世の中で起こった事実をそのまま報道していると思っているのだ。

残念ながら、そんなことはありえない。

スポンサーには背けない

かつて、消えた年金問題で厚生労働省が、メディアからのバッシングを受けた際に、トヨタ自動車の奥田相談役が「厚生労働省を批判するメディアからはスポンサーを降りる」と言った内容の発現をしたところ、一気に各メディアの年金問題叩きがなくなったという事例もあります。

また、俳優の山本太郎さんが反原発を唱えたところ、所属事務所に迷惑がかかるという理由で、13年間所属した事務所との契約を解除したといったことも報道されました。

それぞれの報道機関は、報道機関ごとの特徴があり、それに沿って報道をしているが、そこには例外があると言います。

「スポンサーの意向に反する内容はたとえイデオロギーに沿っていても修正されることがある」

つまり、テレビや雑誌、新聞などの内容は、多額の広告費を支払っているスポンサーの都合の良いようにいくらでも書き換えることができるということなのです。

テレビ業界を牛耳っているのは誰か

いくら、トヨタ自動車や東京電力が多額の広告料を支払っているからと言って、一社で業界全体に影響を及ぼすようなことは、まずありえない。しかし、日本の広告業界の歪な構造が存在していることをご存知の方も多いでしょう。それが、広告代理店の存在であり、そこで圧倒的なシャアを持っているのが、電通なのです。

もしいくつもの大口クライアントを束ねる元締めのような存在がいたとしたらどうだろうか?

実際、この元締めは実在する。それが広告代理店である。

広告代理店はクライアントを束ねているがゆえに、その力を使ってテレビ局に強い影響力を行使できる。テレビ局は広告代理店に資金源を押さえられている以上、彼らの圧力に抵抗する術はない

ある特定の広告代理店が、ありえないほどの割合で業界シェアを獲得しているのだ。その広告代理店こそが、本書で取り上げる「電通」である。

広告代理店の仕事を簡単に言えば、「うちに手数料をいただければ、テレビ局に話をつけますよ」と企業へ話し、テレビ局に「うちに手数料をいただければ、広告枠に広告を出してくれる企業を紹介しますよ」と言って近づき、手数料をもらうことになります。

そして、現在ではCM制作部門を社内に作って、広告代理店の仕事はこれだけではなく「なんでしたら、うちでCMまで作りますよ」と言い、CMコンテンツまで作っているのです。

つまり、広告出稿者(企業)と広告媒体(テレビ局)の両方の代理店を広告代理店が行っていることとなり、言い換えれば裁判で原告側と被告側の両方を同じ弁護士が行っているようなもので、実施的な支配権を広告代理店が持っているということなのです。

本書では、森永ヒ素ミルク事件や大正製薬の風邪薬ショック死事件の裏や、何故2002年FIFAワールドカップが日韓共同開催になったかという際にも常に電通の名前が見え隠れすることが、赤裸々に書かれています。

まとめ

本書を読んでいいただければ、私たちがいかに普段の生活の中で、広告に振り回されているか、広告の背景にいかに多額のお金が流れているかといったことが理解できるかと思います。

日本は、報道の自由度が世界の先進国を見ても、極端に低いにも関わらず、国民のメディアへの信頼度がとても高いという非常に危険な現状にあります。

正しいものを正しいと判断し、間違ったものは間違っていると判断するのは、私たち個人の力であり、そうした判断力を養うには自分で読書をしたり、様々な情報を集め、知識を高めていくしかありません。

自分が知らない世界がたくさんあるということに気が付く第一歩としても非常に良い本だと思います。しかし、本書に書かれていることの中にも、真実が明かされておらず、筆者の苫米地英人さんの予測にならざるを得ないところもあるので、全てを鵜呑みにせず、自分で判断していく必要があります。

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