『生産性』マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの│伊賀泰代【書評】

日本企業や日本社会と米国系の企業や社会では、優秀な人材に、求める資質や育成方法について、大きく2つの違いがあると言います。

1つが「リーダーシップ」、もう1つが「生産性」です。

米国では、リーダーシップは新入社員だろうと社長であろうと、男性であろうと女性であろうと、全員が持つべきスキルであり、誰もが身に付けられると教えられます。生産性は、やるべきことの優先順位を明確にし、優先順位が低いものは切り捨てる大胆さ、結論を先に表明し、無駄な時間は削ぎ落とすという働き方を誰もがしていますし、生産性を高める努力をし続けます。

今回は、非常に大事な概念にも関わらず、ほとんど日本のビジネスパーソン、日本企業に欠如している「生産性」をテーマにしたビジネス書をご紹介いたします。

生産性は、工場や生産現場などだけで使われる言葉だと思っている方は要注意です。生産性は、社会で働く全ての人に関わることなのです。

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの|伊賀泰代

今回ご紹介する本は、伊賀泰代さんの2冊目の著書の『生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの』です。

伊賀泰代さんと言えば、世界最強の頭脳集団であるマッキンゼーで、コンサルタントと採用・人材育成のマネージャーとして17年活躍し、数々の名コンサルタントを採用してきたことで有名です。

前作は、今の日本人に最も必要であるにも関わらず、最も欠如している能力である「リーダーシップ」をテーマにした、『採用基準』を出版しており、大ベストセラーになり、待望の2作目が本書『生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの』です。

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本書『生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの』は、伊賀泰代さん自身が、マッキンゼーで働く中で、リーダーシップと同じくらい重要なのに、日本人が世界から、大きく遅れをとっているホワイトカラーとして働く社会人の「生産性」をテーマにした1冊です。

かつて日本企業は生産現場での高い生産性を誇ったが、ホワイトカラーの生産性が圧倒的に低く世界から取り残された原因となっている。生産性はイノベーションの源泉でもあり、画期的なビジネスモデルを生み出すカギなのだ。本書では、マッキンゼーの元人材育成マネジャーが、いかに組織と人材の生産性を上げるかを紹介する

生産性を上げる4つのアプローチ

生産性とは「成果物」と、その成果物を獲得するために「投入された資源量」の比率として計算されます。「アウトプット」÷「インプット」のいってもよいでしょう。

伊賀泰代

つまり、生産性を向上させるには、

  1. 成果額(分子)を大きくする
  2. 投入資源量(分母)を少なくする

この2つの方法があります。

日本企業では、多くの場合、成果額を上げるために、残業をしたり、人員を増やしたりするという手段を取りますが、投入資源量(分母)が増えるため、生産性は下がります。多くの日本企業が、生産性という概念がないために、効率の悪い方法をとっていることは、生産性の式を見れば明らかです。

改善(インプルーブメント)と革新(イノベーション)

生産性を上げるには、「成果を上げる」と「投入資源量を減らす」の2パターンがありますが、著者の伊賀泰代さんは、それぞれ達成するための手段が「改善(インプルーブメント)」と「革新(イノベーション)」があるため、全部で4種類の方法があると言います。

<生産性を上げる四つの方法>

①改善=インプルーブメントにより、投入資源を小さくする

②革新=イノベーションにより、投入資源を小さくする

③改善=インプルーブメントにより、成果を大きくする

④革新=イノベーションにより、成果を大きくする

日本では、生産性を上げる手段と言うと、改善を行いコスト削減を行うということのみが定着してしまっており、他の角度から生産性を上げるアプローチを行っている企業、ビジネスパーソンはほとんどいないというのが現状です。

成長=生産性の向上

生産性という言葉を聞くと、「生産性の向上は会社が行うもの」と考え、自分には関係がない話だと感じてしまう人もいるかも知れません。著者の伊賀泰代さんは、「成長=生産性の向上」であると言います。

「今までどれだけやっても出来なかったことが出来るようになる」、「8時間かかっていたことが、1時間で出来るようになった」、「1時間かかる仕事が、同じ1時間でもより多くの成果が出るようなった」ということは、全て生産性が上がったということであり、自己成長と生産性の向上は同義だと言います。

ストップウォッチを仕事に使う

日本人が生産性を上げると考えた時には、残業をしたり、一つの仕事に長い時間費やすことによって成果を増やそうとします。しかし、それはインプットが増えてしまっているため、それに応じた分のアウトプットを増やすのは至難の業です。残業が続くことで、疲労がたまり、集中力が途切れ、実際には成果すら増えていないという本末転倒な結果になるということも珍しい事ではありません。

個人レベルで生産性を増やそうと思ったら、まずはインプットを減らすことです。

著者の伊賀泰代さんは、仕事にストップウォッチを使い、それぞれの仕事にどれくらいの時間を費やしているかを知ることが重要だと言います。現に、マッキンゼーでも、実際にキッチンタイマーを使い、仕事にかかる時間を計っていたと言います。

付加価値の低い作業にどれほど長い時間を(知らず知らず)費やしているか=どれほど仕事の生産性が低いか、ということを実感させるためにキッチンタイマーはとても役立ちます。

(中略)

何をどう変えればスピードが変わるのか、ひとつひとつ効果を計測することで、さらなる改善が可能になるからです。タイマーを使わずに生産性を上げようとするのは、体重計に載らずにダイエットするようなもので、効果が測定できなければ手段の正しさも確認できません。

まとめ

普段の生活の中で、生産性を意識するということは、あまりありませんが、逆に言えば周りの人が意識していなからこそ、生産性の向上にチャレンジしていくことで周りと大きな差を付けるチャンスでもあります。

会社で仕事をしていると、残業代のために無駄にダラダラと仕事をしてしまうこともあるかも知れませんが、普段の生活に生産性という概念を持ち込めば、24時間という1日をより効果的に充実した時間として使うことが出来るはずです。

生産性=得られた結果÷投入した資源であり、言い換えれば、最小の労力で最大の結果を出すことです。徹夜で仕事をすることや、気合いで成果をあげることが称賛された時代は、とうに終わりを迎え、これからの時代はいかに生産性の高い仕事、そして生産性の高い人生を送ることが出来るかが、人生の豊かさになります。

社会人として、これからの時代を生き抜いていくために、必読の一冊です。

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