『テクノロジー4.0』「つながり」から生まれる新しいビジネスモデル|大前研一【書評】

金融とテクノロジーを融合させたFinTech(フィンテック)、GPSを利用し位置情報サービス、車や家電製品などあらゆるものがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)など、「インターネットの次に来る革命」が世界中を賑わせています。多くの人が新聞やニュースなどで、これらの言葉を聞いたことがあると思います。

今の時代は、産業革命、インターネット革命などを経て、「テクノロジー4.0」の時代に突入していると言われます。

今回は、インターネットの先にある新たなテクノロジー時代を解説した1冊をご紹介いたします。FinTech、位置情報、IoTなど単語は聞いたことがあるけど、よくわかっていないという人にもオススメの1冊です。

テクノロジー4.0 「つながり」から生まれる新しいビジネスモデル|大前研一

今回ご紹介する本は、ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長で、ビジネス・ブレークスルー大学学長の大前研一さんの著書である『テクノロジー4.0』です。

著者の大前研一さんは、早稲田大学理工学部卒業後、日立製作所原子力開発部技師を経て、世界最強のコンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。マッキンゼーの初代日本支社長を務め、世界の大企業、国家レベルのコンサルティングの数々を行ってきた世界トップコンサルタントの1人です。イタリア大統領よりピオマンズ賞を受賞し、アメリカのノートルダム大学で名誉法学博士号を得るなど数々の賞も受賞しており、世界で活躍する日本人の一人です。

エコノミスト誌は、下記のように大前研一さんを評しています。

現代世界の思想的リーダーとしてアメリカにはピーター・ドラッカー(故人)やトム・ピータースが、アジアには大前研一がいるが、ヨーロッパ大陸にはそれに匹敵するグールー(思想的指導者)がいない

大前研一さんは、テクノロジー4.0が生まれた背景に、今の時代の経済を形成する4つの要素があると言います。

  1. リアル(実体)経済
  2. ボーダレス経済
  3. インターネットによる見えない大陸
  4. マルチプル・経済の論理がイノベーションを加速

リアル(実体)経済は私たちの目に見える、実体のある経済を言います。ボーダレス経済は、国境を越えた経済のことを指し、人・物・金がグローバルに行き交う経済です。インターネットよる見えない大陸は、リアル経済とは対極の存在であると言います。例えばAmazonは、数年で世界で1番売れている本屋、小売店に成長し、人々の買い物という概念を根底から覆しましたが、私たちの目には見えず、インターネット上の見えない大陸を活用した例の一つです。マルチプルとは、企業の価値が企業収益の何倍かを示す指標のことを指し、マルチプルで成長を加速させる経営手腕が主流になりつつあります。

「スマホ」を中心にテクノロジーが「つながる」

FinTech、位置情報、IoTなどは、それぞれ革新的なテクノロジーであることは間違いありません。しかし、重要なことは、それぞれのテクノロジーは独立したものではなく、つながりあって新たなビジネスモデルが生まれているということです。

例えば、タクシー配車サービスとして世界各地で爆発的な成長を続けているUberは、タクシーを探している人のスマホの位置情報を利用し、今いるところまで迎えに来てもらい、スマホで支払いをするというFinTechが融合して生まれたサービスです。

また、もう一つ重要な点は、私たちが持つ、スマートフォン(スマホ)があらゆるテクノロジーの媒介役として機能しているという点です。スマホは、一昔前までは別々の端末として存在していたものを一気に一つの手のひらサイズの電話の中に収めてしまいました。電話、メール、インターネット、テレビ、ラジオ、カメラ、財布、映画館、電卓、地図など、あらゆるものが一つに収まっています。スマホは便利なものですが、このスマホがテクノロジー4.0の未知なる扉を開いたと大前研一さんは言います。

テクノロジー4.0とは

テクノロジー4.0と本書のタイトルにもなっているキーワードですが、それは一体どんなものなのでしょうか。テクノロジー1.0から解説されています。

テクノロジー1.0

18世紀後半から19世紀前半にイギリスで起きた産業革命が、テクノロジー1.0にあたります。

産業革命は、技術革新に伴い、手工業から工場性生産になり、人間の力では実現不可能だったものが、機械によって生産されるようになり、経済を大きく変革させました。蒸気機関車、自動車などが普及し始めたのも産業革命によるものです。

テクノロジー2.0

大量生産時代が、テクノロジー2.0と呼ばれます。

工業化が進み、安く製品が行き渡るようになり、一般の人たちが豊かな生活を手に入れやすい時代になりました。このころから、中流階級が広がっていきます。

テクノロジー3.0

通信・インターネット時代の幕開けであり、情報革命のことをテクノロジー3.0と呼びます。

電話、FAX、パソコンなどが誕生し、離れた人たちに情報を一瞬で伝えられるようになりました。

テクノロジー4.0

大前研一さんは、2001年に日本で発売した『大前研一「新・資本論」―見えない経済大陸へ挑む』の中で、「21世紀の経済は目に見えない」と述べましたが、まさにその目に見えない経済こそが、テクノロジー4.0時代なのです。テクノロジー4.0は単なる電子技術やコンピュータ技術ではなく、前述の4つの要素が共存しています。

  1. リアル(実体)経済
  2. ボーダレス経済
  3. インターネットによる見えない大陸
  4. マルチプル・経済の論理がイノベーションを加速

Uberは、テクノロジー4.0の申し子

(画像:Prathan Chorruangsak /Shutterstock)

スマホアプリでタクシー配車サービスを提供するUberは2009年創業ですが、たった5年で時価総額7兆円のメガ企業に成長しています。

大前研一さんは、オーストラリアによく行くそうですが、今はゴールドコーストにタクシーはほとんど走っていないし、タクシーをつかまえようと道端で手を挙げる人はいないと言います。ほとんどの人がUberを使うと言います。

また、Uberは、スマホでオンライン決済されるため、乗客も運転手も現金を持ち歩く必要がなく、タクシードライバーが強盗に襲われるという危険性もありません。
ゴールドコーストからは、たった1年ほどでタクシーが消えてしまったと言います。

途上国の方がテクノロジーが浸透する

日本では、多くの人が送金をするという時に、銀行へ行ったり、ATMで送金します。一部の人は、インターネットバンキングを使い、スマホからその場で送金するということもあるとは思いますが、国民全員がインターネットバンキングを利用してるような状況ではありません。
しかし、アフリカではほとんどの人が当たり前のようにスマホで送金をしているという事実を信じられるでしょうか。送金のシステムについては、アフリカのが何倍も日本よりも先を行っているように思います。

日本では、長年かけて、固定電話が普及し、FAX付きの電話が広まり、ポケベルやガラケーが少しずつ行き渡り、ここ数年でスマホが国民たちに行き渡りました。

しかし、途上国には固定電話やガラケーなどが一切なかったところに、一気にスマホが普及していきます。法律や規制などが整備されないうちに新たなテクノロジーがどんどん広がっていくため、日本のように法律や規制が邪魔をして、なかなか新たなサービスを展開できないといった弊害はないのです。

日本は世界から置いていかれる?

日本のように至るところに古い法律や規制がある国は、これからの時代に取り残されてしまう可能性が多くあります。

日本の場合には文部科学省という「20世紀の遺物」が存在し、なかなか変化が起きませんが、基本的にテクノロジー4.0には、いつどこにいても自分が情報発信者になり、受信者になり、付加価値を高められるし、学習したり、事業を生み出すこともできる、という魅力があります。

大前研一|テクノロジー4.0 「つながり」から生まれる新しいビジネスモデル

まとめ

大前研一さんは本書の最後で、日本は小さな改善は得意だが、全く新しい教育や価値観を受け入れることは苦手であると述べ、これからのテクノロジー4.0時代は日本とっては厳しい時代になると示唆しています。

日本という「国」がテクノロジー4.0の時代に的確に対応することはできないと思います。

大前研一|テクノロジー4.0 「つながり」から生まれる新しいビジネスモデル

こうした大きな変革の時代に生き残るためには、国に頼るのではなく、自分自身でそういう時代であると気がつくことが重要だと言います。

西部開拓時代、祖国を捨ててアメリカ大陸に来た人たちは、退路を断ち、先を競って西武最前線に向かいました。今必要なのは、まさにそれであり、デジタルコンチネントに移っていくためには退路を断たなければなりません。

このデジタルコンチネントこそが自分の生きる場だという覚悟があれば生き残れますし、誰かが連れていってくれるのを待っているような人間は、ミシシッピ川を渡ることが出来ず、対岸に残されている、ということになるのではないでしょうか。

大前研一|テクノロジー4.0 「つながり」から生まれる新しいビジネスモデル

▼関連記事▼

大前研一さんと言えば、世界最強の頭脳集団のマッキンゼー・アンド・カンパニーの初代日本支社長を務め、世界No.1コンサルタントといっても過言で...
自分を変えたいと思う時は、ありますか?今の自分に満足出来ないということもあると思います。 もっと明るくなりたい。もっと面白くなりたい。...

20代ノマドカフェ東京読書会に参加しよう!

20代ノマドカフェ東京読書会は、毎週東京の秋葉原で開催している東京最大級の20代限定の読書会です。 詳細は、下記のバナーよりご確認ください。

スポンサーリンク
-レクタングル(大)
-レクタングル(大)

フォローする

こんな記事も読まれています

関連コンテンツ
スポンサーリンク
-レクタングル(大)